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来年12月に京都議定書の約束期限が迫る中、温室効果ガス削減目標の達成どころか、今年世界の排出量は過去最高に達しました。気候変動による被害は国内各地でも深刻さを増し、3.11の東日本大震災以降の安心・安全なエネルギーを求める声の高まりと相まって、低炭素な地域づくりはますます喫緊の課題となっています。そのような状況下、熊本市は平成22年3月に、2050年の温室効果ガスの削減目標を2007年比で80%という戦略的な長期目標数値を掲げた「熊本市低炭素都市づくり戦略計画」を策定。その取り組みに私たちも大きな関心を抱き注視をしていました。
そのような熊本の動きに呼応するかのように、COP3を契機に設立され、全国の市民団体や研究機関の支援を受けて世界的な視野で地球温暖化防止活動を展開しているNPO気候ネットワークから、低炭素な地域づくり戦略会議の開催を全国5箇所で計画しているが、熊本でもぜひ開催して議論を深めて欲しいとの要請を受けました。
早速、熊本市や大学関係者、事業者など関係機関へ協力のお願いに走り回り、地域課題に沿った企画を練り上げ、総勢50名近い参加者を得て、10月3日を皮切りに連続3回の戦略会議開催が実現しました。
低炭素社会という言葉自体がまだ耳新しく、そのイメージも漠然としています。個人のライフスタイルはもとより、街のあり方も、社会・経済のあり方そのものも、根本から変えて行く必要があるでしょう。その実現には多くの課題が横たわっています。そのため、市民、事業者、研究機関、行政などの各主体が膝を突き合わせて話し合いを重ねながら、地域の将来ビジョンをしっかりと共有しなければなりません。その上で、効果的な政策を議論し、それぞれが役割を担い、協働での取り組みを加速させることが重要になります。
様々な課題を熟知しているメンバーが、低炭素社会の実現に向けて「エネルギー、交通、人づくり」の3つのテーマで議論を深め、心豊かに暮らせる持続可能な社会、低炭素な地域ビジョンが少し明らかになりました。また、 実現に向けた具体的な政策や仕組みや、それぞれが取り組む活動等に関する率直な意見が交わされました。
低炭素の社会とは、単に温室効果ガスの排出を抑えるだけで実現できるものではないはずです。まず、持続可能であることが重要です。その具体的なイメージとして、「環境、社会制度、経済のバランスが保たれ、格差がない社会」、「質ではない豊かさの尺度(価値観)を持つ社会」、「おもいやり、いたわり、そして想像力を持つ社会」、「未来へのビジョンを地域の人々が共有している社会」、「住民参加型の仕組みが定着している社会」、「ウェルビーイングが実現している社会」が議論を通して描き出されてきました。
より具体的なイメージとして、例えば、交通分科会では「20年後、30年後に地域にバスがある社会」をつくることが、地域が生き残るための最大の戦略であり、「バスがない社会は、福祉を担えない」ことを提案に盛り込むことが合意されました。
分科会に共通した課題として、「実現への仕組みづくり」や、「地域政策・制度づくりあるいは、地域特性に応じた仕組み・制度」の必要性があげられました。また、「構造的に問題を捉え、総合的に取り組む」という視点を持つことが重要であり、「人材確保、人づくり」あるいは「市民(住民)参加を広げていく場づくり」や「民が担うプロジェクト」、「地域との連携、地域への浸透」などについても議論が交わされました。
3回の会議での議論を基に、低炭素な社会づくりに向けた提案をまとめ、来春、地域に対して公表し、市民の皆さんに持続可能な新しい社会づくりへの参加を呼びかける予定です。
◆全3回の戦略会議(全体会及び分科会)の流れと概要
<第1回戦略会議>
日時:2011年10月3日(月)
会場:熊本市国際交流会館6階会議室
○内容
・全体会/熊本市低炭素都市づくり戦略計画の紹介
・分科会/「エネルギー」「交通」「人づくり」3つの分科会テーマに基づき議論。
参加者の自己紹介、問題意識の共有、論点整理
【エネルギー分科会】
・地域循環のエネルギー地産地消社会を目指して
【交通分科会】
・つながる交通で地域を元気に
【人づくり分科会】
・育てよう低炭素地域づくりを担う人材
<第2回戦略会議及び懇談会>
日時:11月15日(火)13:00~16:30
会議会場:熊本県民交流館パレア 各会議室
□第1セッション:基調講演
飯田哲也氏 環境エネルギー政策研究所所長
演題「低炭素な社会へ 地域からの挑戦 ~エネルギー・交通・人づくりの視点から~」
□第2セッション 分科会に分かれての戦略会議
内容:課題提起を切り口とした、各テーマについての核心を議論し、提言骨子について協議。
(分科会1 エネルギー)
テーマ:地域循環のエネルギー地産地消社会を目指して
コーディネーター:石原修尚絅大学教授
課題提起:九州バイオマスフォーラム 中坊真氏
環境ネットワークくまもと 井上智氏
熊本県小水力協議会 兼瀬哲治氏
(分科会2 交通)
テーマ:つながる交通で地域を元気に
コーディネーター:坂本正熊本学園大学教授
溝上章志熊本大学教授
課題提起:トラムデザイン社 丸山 力氏
熊本市交通対策総室 古庄修氏
(分科会3 人づくり)
テーマ:育てよう低炭素地域づくりを担う人材
コーディネーター:宮瀬美津子 熊本大学准教授
課題提起:しぜん あそ・まな・くらぶ 加藤千尋氏
<第3回戦略会議・シンポジウム>
日時:12月3日(土)13:30~16:00
会場:熊本学園大学
○内容:パネルディスカッション形式
分科会の議論を総括し全体で共有。地域社会への提案をまとめる。
コーディネーター:宮北 隆志
パネリスト
各分科会コーディネーター 石原 修氏
坂本 正氏
溝上 章志氏
宮瀬 美津子氏
気候ネットワーク 田浦健朗氏
熊本市環境企画課 植木課長
(報告:NPO法人環境ネットワークくまもと 副代表理事 原 育美)
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